シース熱電対・測温抵抗体の製造には冷間引抜加工法が使用されており、内部熱電対の熱起電力特性や、Ni 線の機械的強度を損なうことのないよう適正な引抜き及び、焼鈍をしなければなりません。しかし、金属シースと熱電対素線やNi 線の焼鈍温度が厳密には異なるので金属シースについては残留応力となって現れます。また、金属シースは長尺のため、一般に輪巻状となっていますが、測温接点の加工や端子の組立加工時に直線状にしたり、運搬時に輪状にしたりするので更に応力が加わる場合があります。この様に残留応力のあるシース熱電対・抵抗体は応力腐食割れが発生しやすくなっています。応力腐食割れは引っ張り応力に対して垂直方向に生じるため、シース熱電対・抵抗体の場合、金属シースが縦に裂けたように割れます。
■防止策
①温 度: | 周囲温が70 ~250℃付近で発生することが多く、一般的には温度が高くなるほど発生しやすくなります。 | ||||||||||
②材 質: | 8 ~ 10% 程度のニッケル合金は応力腐食割れが発生しやすく、Ni 含有量が50% 以上の場合は発生しにくいとされています。 | ||||||||||
(例) |
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③塩化物: | 冷却水などの場合、塩化物の濃度が高くなると発生しやすくなります。特に塩化物が濃縮して、スケールとして付着する場合は注意が必要です。 | ||||||||||
④構 造: | シース抵抗体で発生した場合は、シース材質は一般的にSUS316 なので、一般工業用のSUS316、SUS316L に変更を行うと応力腐食割れが防げる場合があります。 ( 一般工業用のパイプは残留応力が少ないため) |