保護管の性質
種類 | 鋼種類 | 主成分 | 規格記号 商品名 |
大気中酸化 最高温度(℃) |
耐イオウ | 耐パナジウムアタック | 耐浸炭 | 耐窒化 | 高温強度 |
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Fe基 | Fe-Cr | 27Cr | サンドビックP4 | 1050 ~ 1100 | ◎ | △ | ○ | △ | ☓ |
Fe-Cr-Al | 24Cr-55Al | カンタル A1 | 1250 ~ 1300 | ◎ | △ | ○ | ☓ | ☓ | |
Fe-Cr-Ni | 18Cr-8Ni | SUS304 | 850 ~ 900 | ○ | ☓ | ☓ | △ | △ | |
18Cr-8Ni-2.5Mo | SUS316 | 850 ~ 900 | ○ | ☓ | ☓ | △ | △ | ||
25Cr-20Ni | SUS310S | 1050 ~ 1100 | △ | △ | △ | ○ | △ | ||
21Cr-11Ni | 253MA | 1050 ~ 1100 | ○ | △ | ○ | ○ | △ | ||
Ni基 | Ni-Cr | 16Cr-7Fe | NCF600 | 1100 ~ 1150 | ☓ | ☓ | ◎ | ◎ | ○ |
22Cr | ハステロイX | 1090 | ☓ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ||
Co基 | Co-Cr-Fe | 30Cr-20Fe | UMCO50 | 1100 ~ 1150 | ○ | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
■耐硫化性
H2S、SO2等硫黄化化合物のガス雰囲気中での高温腐食は耐熱合金の使用に大きく制約をあたえます。耐熱合金を酸化雰囲気で使用する場合は、Fe 及び多くの合金元素は酸素に対する親和力が大きい為、酸化保護被膜を生じ、次に硫黄が作用します。硫黄が多くなって酸化保護被膜が破れることがありますが、一般には耐酸化性の大きい耐熱鋼は大体硫化に耐えます。しかし、還元性雰囲気では、この作用がないので硫黄の侵入が激しく生じます。
また、Ni はNiS の融点(780℃ ) 及びNi-NiS の共晶温度(645℃ ) が低いので、高Ni の耐熱合金は硫化に耐えられません。高H2S 雰囲気中(800 ~ 1000℃ ) で比較的耐硫化性が優れているのは、UMCO50 です。
■耐パナジウム・アタック
重油燃料の灰分中に含まれるV2O5による加速酸化はパナジウム・アタックと呼ばれる高温腐食の一つです。
これはV2O5の融点が674℃であり、合金表面で溶け、合金を強く酸化して生成酸化物が溶け込み、酸化が促進されるからです。
パナジウムアタックに対しては、Cr 量が多いと効果があり、UMCO50 が比較的寿命が長いです。
■耐浸炭性
耐熱合金の性能に影響する高温反応の一つに浸炭があります。浸炭はまず、金属表面に炭素が吸着されることによって起き、この炭素は主として一酸化炭素、メタン、炭化水素等の還元性浸炭性のガス相等から吸着され ます。
浸炭が起きると融点が低くなり脆化したり、炭化物(Cr炭化物) にそって酸化が内部に進行したりします。Cr 及びNi 量が多い金属が、浸炭に対して効果があります。
例: | インコネル600、サンドビックP4、UMCO50、SUS310S、ハステロイX等が耐浸炭性に優れています |
■耐窒化性
耐熱金属材料の中で、Al、Si を含む鋼は、高温で窒化物を作り激しく浸食されます。従ってAl、Si を含む耐熱鋼は、高温のアンモニア、窒素等窒化性の雰囲気での用途は不適当です。Fe-Ni-Cr 合金(SUS 系) の場合、Ni を増す方が耐窒化に効果があります。Co 基合金は窒化に対して極めて優れた性質を示します。
例: | インコネル600、サンドビックP4、UMCO50、SUS310S、ハステロイX等が耐窒化性に優れています |